街中や家庭内でWi-Fi通信を使ってインターネットを楽しむケースが増えています。
Wi-Fiとは、Wi-Fi Alianceというアメリカの業界団体によって定義した国際標準規格である「IEEE802.11を使用している」ということを表しています。
つまり、Wi-Fi機器同士のデバイス間では、相互接続が可能だということが一目で分かるのがWi-Fiなのです。
今回は、何気なく使っているWi-Fi通信の規格について少し詳しく解説する事で、より快適にWi-Fi通信ができるようにまとめたので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
①Wi-Fiとは?
現在、一般的に無線LANといえばWi-Fiのことですが、厳密に言うとWi-Fiは無線LANの中のある規格を表しています。
無線LANの規格はWi-Fiが一般的になったので、「無線LAN=Wi-Fi」と認識しても構いません。
1.1インターネット導入とルーターの接続方法
自宅でインターネットを利用するには、回線事業者やプロバイダーと契約して光回線などの通信設備を導入します。
外部の電線から自宅に引き込んだ光回線の先端に回線終端装置(ONUなど)を取り付け、さらに複数の端末を同時にインターネットに接続するためにルーターを設置します。
ルーターにパソコン等の端末を接続すれば設置は完了です。
この時、ルーターと端末をLANケーブルで接続する方法を有線接続、LANケーブルを使わず無線で接続した方法を無線接続と言います。
1.2 Wi-Fi接続の方法
Wi-Fi接続をするためには、親機と子機が必要です。
親機は、Wi-FiルーターやWi-Fiアクセスポイントと呼ばれる機器です。
子機は、デスクトップタイのパソコンはUSBタイプの無線LANが必要なケースと、端末無線LAN子機が内蔵されたスマホ・タブレットなどがあります。
子機側で親機の電波をキャッチする設定を行うと、機器同士がWi-Fi接続されます。
Wi-Fiで繋がると、LANケーブルで有線接続している状態と変わらないので、インターネット接続やルーターにアクセスすることが可能になります。
1.3 Wi-Fiの規格
Wi-Fiの中では規格がさらに細かく分けられています。
IEEE802.11のあとにIEEE802.11b、IEEE802.11gなどのアルファベットが続きます。略して11b、11gと書く事もあります。
同じ規格同士でないと通信ができませんが、通常のWi-Fi機器は単一規格のみでなく、複数の規格が混在して使えるような仕様になっているので、Wi-Fiデバイス同士であればたいていどれかの規格は一致します。
基本的に、一番通信速度の速い規格同士が自動で接続するようになります。
現在、一番新しい規格は11acで次点で11nです。
11acに対応している機器は、11nにもそれ以前の古い規格にも対応しているので、もし片方のデバイスが11acに対応していなくても古い規格同士で接続されるということです。
Wi-Fiの規格と通信速度/周波数帯 | |
11b | 11Mbps/2.4GHz |
11g | 54Mbps/2.4GHz |
11a | 54Mbps/5GHz |
11n | 600Mbps/2.4GHzと5GHz |
11ac | 1733Mbps/5GHz |
※11n/11acはMIMO4×4の最大理論値
上記の表のように、周波数帯ごとに使える規格が異なります。周波数帯には2.4GHzと5GHzがありますが、それぞれ特徴が異なります。
2.4GHzと5GHzの違い | |
2.4GHz | ・障害物に強い
・家電製品に使われる周波数帯なので電波干渉しやすい ・屋外/屋内で利用可能 |
5GHz | ・障害物に弱い
・同一の周波数帯を使う機器が少なく電波干渉しにくい ・一部を除き屋外での使用は電波法違反 |
実際にWi-Fi機器を購入するときは、11acに対応している機種を選べば、5GHz帯の高速通信ができ、11acに対応している機器は11n以下の規格にも対応しているので、天井や壁などの障害物でWi-Fiが届きにくいときは、2.4GHz帯の11nを使うこともできます。
また、表内に書いてある11acの速度は1733Mbpsとなっていますが、これは帯域幅80MHzでアンテナ4本のMIMOを使ったときの速度です。
このあたりを説明すると長くなってしまうので簡単に書きますが、基本的に11acだから必ず速いというわけではなく、アンテナの本数や使う帯域幅やMIMOの有り無しでも速度が変わります。
親機がアンテナ4本でも、子機がアンテナ1本だとアンテナの少ないほうに速度があわされるので、Wi-Fi機器を購入するときは11nや11acという規格をチェックすることも大事ですが、それよりも最大速度がいくらなのかをチェックしたほうが良いでしょう。
1.4今使うならどの規格?
現在の端末のほとんどが11acに対応しているので、親機を選ぶときは11ac規格に対応しているものを購入すると良いでしょう。
また、「11acでMIMO2×2に対応している867Mbps以上の機器」を選べば、たいていの子機と快適に通信できます。
1.5今使っているルーターの規格の調べ方
Wi-Fiルーターのパッケージには必ず規格が表示されているので一目で分かります。
パッケージやマニュアルを処分してしまいわからないときは、ルーターにログインすると調べることができます。
ログイン方法は、Wi-Fiに接続中のスマホでも簡単にできます。
ブラウザを立ち上げて、ルーターのIPアドレスを入力すると、ルーターの管理画面へログインできます。
IPアドレスの調べ方(iPhoneの場合)
「設定」⇒「Wi-Fi」⇒「チェックが入っている項目右側のiをタップ」⇒「ルーター」の数字です。
これでルーターの管理画面に入って、「無線設定」などの項目へ進んでいけば使える規格が書いてあります。
でもこれだけでは、実際に現在この端末がどの規格で通信中なのかは分かりません。
自動で快適な規格で通信が確立されているからです。
ただ、一部のWi-Fiルーターを除き、2.4GHzと5GHz間をまたいで勝手に規格が変わることはないので、最初に設定した周波数帯の中の規格で繋がっています。
現在接続中の規格は、Windowsであればコマンドプロンプトを開いて、以下のコマンドを打ち込めば確認できます。
〔netsh wlan show interface〕
②11nと11acの速度使用感はどれくらい違うの?
現在主流の11nと11acではどのような差が出るのか、解説します。
2.1電波干渉なしの状態
普通に使う分には規格の違いによる変化はわかりませんが、大容量のものをダウンロードするような場合だと、11acで速度が速いほうがハッキリと時間の差が出ます。
規格の違いよりも、帯域の違いで差が出ることがあります。
11acは5GHz帯だけですが、11nは5GHz帯と2.4GHz帯が使えます。
11acの規格が障害物などで安定しないときは11nの5GHzも同じく安定しません。
そのようなときに、11nの2.4GHzへ設定変更すれば速度は遅くなりますが安定します。
2.2電波干渉がある状態での安定性
電波干渉の原因のほとんどは、電子レンジなどの家電製品です。
これらは2.4GHz帯を利用しているので、5GHzのみ11acはそれらとは無縁です。
11nも5GHzで接続しているのであれば電波干渉は起こりません。
また、隣近所のWi-Fiが自宅のWi-Fiとチャンネル干渉することもあります。
このチャンネル干渉が起こる確率も、チャンネルを幅広く使える5GHz帯の方が低いので、11acは基本的には電波干渉に強い規格なのです。
③快適にネット通信ができる機器の選び方
Wi-Fi通信をする親機と子機がどの規格に対応しているのかまとめたので、購入の際の参考にしてくださいね。
3.1PCの場合
ノート型PCには内蔵無線LANがたいてい入っていて、現在の端末機器のほとんどは11acに対応しています。
Macだと2013年以降の製品は、11acに対応しています。
Windowsだと2013~2014年ごろにかけて、続々と11ac対応モデルをメーカーが出しているので、最近のものはほぼ11acに対応しています。
ディスクトップ型PCで内蔵無線LANが無いタイプは、USBで外付けの無線LAN子機を付ける必要があります。
また、11acに対応していない内蔵無線LANのPCにも、11ac対応の子機をUSBで接続すれば11acの規格で通信が可能です。
3.2スマホ
iPhoneは、6以降が11acに対応しています。
Androidはメーカーがたくさんあるので一概には言えませんが、iPhone6と同じくらいの時期(2014年)ごろからは11ac対応が増えてきました。
今では、ほとんどのスマホは11acに対応しています。
3.3ゲーム機器
ゲーム機器がどの規格に対応しているのか表にまとめました。
ゲーム機器のWi-Fi対応表 | |
PS4 | 2016年に発売したCUH-2000から11ac対応
2016年以前のものは11ac非対応 |
任天堂スイッチ | 11acに対応 |
PSvita・WiiU | 11acに非対応 |
3DS | 11ac/11n共に非対応 |
ゲーム機をWi-Fiに接続してオンラインゲームなどをするときは、それほど通信速度は重要ではありませんので遅い規格でも不自由はしませんが、ゲームソフトをダウンロードするときは速度が速いほうが時間はかかりません。
また、2.4GHz帯で接続していると、電子レンジなどの電波干渉で通信が不安定になることが多いので、オンラインゲームに支障が出ることがあるので、なるべく5GHz帯の規格で接続したほうがいいです。
3.4おすすめWi-Fiルーター
ルーターにWi-Fi機能が備わっている商品は、Wi-Fiルーターや無線LANルーターなどと呼びます。
おすすめの機種をいくつか紹介します。
■WXR-1900DHP3(バッファロー)
WXR-1900DHP3(バッファロー) | |
メーカー | BUFFALO |
対応規格 | 2.4GHz帯11b/g/n
5GHz帯11a/n/ac |
最大通信速度 | 1300Mbps |
定価 | 16,500円 |
その他特徴 | ・大型可動式アンテナ3本
・ビームフォーミング ・バンドステアリング |
大型可動式アンテナが付いているので、調整することにより電波の届きを改善できます。
ビームフォーミング機能は、子機を自動識別して集中的に電波を届ける仕組みです。
バンドステアリングは、2.4GHzと5GHzのどちらか空いている帯域へ自動接続してくれる機能です。
■WN-AX2033GR(アイ・オー・データ)
WN-AX2033GR(アイ・オー・データ) | |
メーカー | IO-DATA |
対応規格 | 2.4GHz帯11b/g/n
5GHz帯11a/n/ac |
最大通信速度 | 1733Mbps |
定価 | 13,100円 |
その他特徴 | ・MU-MIMO
・ビームフォーミング |
通信速度の割に料金が安いのでおすすめです。
MU-MIMOとは、複数端末が同時通信しても速度が低減しない仕組みです。
④光回線の選び方
光回線の通信速度は、100Mbps/200Mbps/1Gbpsなどが一般的です。
11ac規格でWi-Fi区間だけが高速でも、光回線が100Mbpsだと結局は最大速度は100Mbpsが限界となるので、光回線は1Gbps以上のプランにするのが望ましいです。
一部の光回線では5Gbpsや10Gbpsなどの超高速のプランも始まりましたが、それに対応できる端末がほとんどないので、1Gbpsの光回線で十分です。
これから、新たに光回線を取り入れる方はもちろん、乗換えを検討中の方も、以下の記事でピッタリの光回線を見つけてくださいね。
⑤Wi-Fi規格まとめ
無線LANにはWi-Fiの規格があり、IEEE802.11acが一番新しい規格で通信速度が速いです。
この規格で通信するためには、11ac対応のWi-Fiルーターと11ac対応の子機が搭載された端末の両方が必要です。
最近のスマホやノートパソコンはほとんど11ac対応しているので、Wi-Fiルーターを11ac対応の物にすれば高速通信が可能です。
ただし、11acでもアンテナ本数やMIMO対応かどうかで速度が異なるので、メーカーが表示する最大通信速度をチェックして購入しましょう。